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ロボット関節アクチュエータ トルク・減速比計算機

ヒューマノイドやロボットアームの関節に使うモータと減速機(またはローラねじ・ボールねじ)の組み合わせが可搬重量を支えられるかを計算します。モータの連続・ピークトルク、減速比と効率から関節出力トルクを求め、荷重・腕の長さ・リンク自重から求めた必要トルクと比較します。

1. アクチュエータ構成

モータのデータシートにある定格(連続)トルクと瞬時最大(ピーク)トルクを入力します。初期値は計算例のための仮定値です。

サーキュラスプラインの歯がフレクスプラインより2枚多い構造を前提に、減速比 = 歯数 ÷ 2 で計算します(例:200 → 100:1)。

遊星歯車を選ぶと1段あたり約3%の損失で初期値が変わります。その他の減速機の初期値70%は仮定値なので、データシートの効率に置き換えてください。

2. 負荷条件

メーカーがロボット全体として公表している値です。両腕で持つ荷重なら、片腕あたりの分に分けて入力してください。

重力方向に垂直な距離です。腕を水平に伸ばした姿勢が最も不利です。

関節より先のリンク・モータ・手の質量と、関節からその重心までの水平距離です。不明なら0のままにして余裕率を大きめに見てください。

加速・衝撃・摩擦をカバーするための倍率です。初期値1.5は仮定値です。

3. 計算結果

関節出力トルク(連続) -- N·m
必要関節トルク(静的 × 安全率) -- N·m
減速比 --
関節出力トルク(ピーク) -- N·m
関節出力速度 --
荷重トルク m·g·r -- N·m
リンク自重トルク -- N·m

4. 判定

* 注意:静止姿勢を前提とした初期設計用の推定値です。加速トルク、関節摩擦、発熱による連続トルクの低下は含みません。実際の選定前にモータ・減速機のデータシートと試験値を確認してください。

関節トルクと減速比の計算方法

関節アクチュエータの選定は2つの値の比較です。1つはモータと減速機(またはねじ)が関節で出せるトルク、もう1つは荷重と腕の姿勢が求めるトルクです。この計算機は両方をN·mにそろえ、連続トルクとピークトルクのそれぞれで比較します。

1. 計算式

回転型はモータトルクに減速比と効率を掛け、直動型はリードから推力を求めてからモーメントアームを掛けて関節トルクに換算します。

T_out (N·m) = T_motor × i × η i (harmonic) = N_flexspline ÷ (N_circular − N_flexspline) = N_flexspline ÷ 2 i (planetary, ring fixed) = (1 + N_ring ÷ N_sun)^stages, η ≈ 0.97^stages F (N) = 2π × η × T_motor ÷ L (m), T_joint = F × moment_arm τ_required = (m_payload × g × r + m_link × g × r_cg) × safety_factor n_out (rpm) = n_motor ÷ i, v (mm/s) = n_motor × L (mm) ÷ 60

波動歯車の減速比はHarmonic Driveの技術解説にある「サーキュラスプラインはフレクスプラインより歯が2枚多い」構造と、Strain wave gearingの歯数差の式に従います。遊星歯車の減速比と1段あたり約3%の損失はEpicyclic gearing、ねじの推力式はLeadscrewの効率の定義(η = F·L ÷ 2πT)を変形したものです。g = 9.80665 m/s²を使います。

2. 減速機3種の比較

減速比の得方によって効率・バックラッシ・バックドライバビリティが変わります。以下はメーカーや技術資料が公表している範囲で、効率のように公表されていない値はデータシートで確認する必要があります。

項目 波動歯車 サイクロイド(RV) 遊星歯車
減速比 同じ空間で30:1〜320:1(出典) 製品ごとに決まった減速比 — カタログを確認 同じ空間で通常10:1程度(1段)、段を重ねて高める(出典)
バックラッシ メーカー表記でゼロバックラッシ(Harmonic Drive) RV-Nシリーズは1 arcmin未満(Nabtesco) 設計・等級による
効率 公開ページに数値なし — データシートを確認 公開ページに数値なし — データシートを確認 1段あたり通常約3%の損失(出典)

3. 回転型と直動型の選び方

回転型は広い回転範囲が必要な肩・手首・腰の回転に、直動型は大きな力が必要な肘・膝・足首のような曲げ関節によく検討されます。直動型は同じモータで大きな推力を出せますが、関節トルクはモーメントアームに比例するため、関節角度で出力トルクが変わります。ローラねじはボールねじより負荷定格と剛性で有利ですが高価です。

4. 連続トルクとピークトルク

物を持って姿勢を保つ動作は連続トルクで、ジャンプ・着地・急加速はピークトルクで確認します。判定が「ピークのみ可能」なら、その姿勢を長く保つとモータが過熱するおそれがあります。参考までに、Unitree G1は最大の関節モータ基準で膝の最大トルクを90 N·m(EDUは120 N·m)と公表しています。

5. よくある質問

Q1. 減速比は高いほど有利ですか?

出力トルクは減速比に比例して大きくなりますが、出力速度は同じ割合で下がり、出力側から押す力がモータまで伝わりにくくなるためバックドライバビリティが下がります。着地の衝撃を受ける脚の関節では、高トルクモータと低い減速比の組み合わせがよく検討されます。

Q2. 効率の初期値の根拠は?

遊星歯車はEpicyclic gearingの「1段あたり通常約3%の損失」に従い、0.97の段数乗を使います。波動歯車・サイクロイドの70%とねじの80%は計算例のための仮定値なので、実際の製品のデータシート効率に置き換えてください。

Q3. 可搬重量の例をそのまま使えますか?

例はメーカーがロボット全体として公表した値です。G1の腕の負荷は腕の伸ばし方で大きく変わると注記されており、Digit 5の仕様は暫定値です。両腕で持つ場合は片腕の分に分けて入力してください。

Q4. 直動アクチュエータのモーメントアームはどう決めますか?

関節軸からねじ推力の作用線までの垂直距離です。関節が曲がるとこの距離が変わるため、CADで作業範囲全体の値を求め、最も短い値を入力すると保守的な結果になります。

Q5. 加速や摩擦が含まれないのはなぜですか?

この計算機は静止姿勢で重力が生むトルクだけを計算します。速い動作の慣性トルクや減速機内部の摩擦は、安全率でカバーするか、動力学シミュレーションと試験で別途確認してください。